レッツサイクリング act.2

 

「着きました」
「……おまえ、結構スピード狂なんだな……」
 思いがけない海堂の一面に、ちょっとぐったりしながらマウンテンバイクから降りた。
 後ろに乗せてくれないかと提案したのは俺だが、一緒に乗っている人のことをもうちょっと考えて運転して欲しい……。
 坂道などをノンストップで駆け下りる時の恐怖は、なかなか味わえないスリルだった。

 疲れた俺の声に振り返った海堂は、平然とした顔だった。
「そうっスか?」
「そーだよ」
「ふーん」
 なんだその興味なさそうな様子は。

 そんな海堂は、まだ何か文句を言いたそうな俺を一瞥すると、一人すたすたとコンビニへ入って行ってしまった。
「くそー……海堂冷たい……」
 ふらつく足をなんとか踏み出して、俺も自動ドアをくぐり抜けた。

 

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