車(R-18)※大学生Ver.
「イタ……」
ゴツンと天井に頭がぶつかった。
「大丈夫か?」
乾先輩が心配そうに見上げてくる。膝の上に乗っかっているため、少しだけ目線が低い彼の顔を見下ろしながら、オレは軽く首を振った。
そのたびにツキンツキンと腰の奥から、得体の知れない感覚が湧きあがってくる。
元凶は、オレの中で存在を主張している、乾先輩の熱だ。
乾先輩の車は、その大柄な身体に反して小回りの利く軽自動車だ。学生だからという理由もあるらしい。買った当初からあちこちに連れまわされた。
この人、意外にアクティブだったんだと知ったのはその時だった。
その狭い車内でどうしてオレが先輩に跨って座っているかというと、単にほだされた――と言ってしまえばおしまいだが、事実そうなのだ。
先輩の言葉は上手い。そして実に甘い。
しかしちょっと甘い言葉にほだされただけで、人気のないところとはいえこんなとこでセックスを許すオレもオレだ――。
「キツイ? 一回出ようか」
「へ……き、それより、はや……」
「そう? ……ああ、平気そうだね、勃ってる」
端的に言われて、羞恥が襲ってくる。
確かに無理矢理突っ込まれはしたものの、慣れた身体はちゃんと快楽を得ている。
「ん、ぁ」
掌で包み込まれて数度扱かれただけで、先端からとろりと液体が溢れてきた。
「あ、シートに……」
先走りが滴って結合部分から座席に垂れそうになり、オレは慌てて身を起こした。
「って!」
その拍子にフロントガラスに頭をぶつけてしまう。
またそれに慌てて、ハンドルに肘をぶつけたりギアにシャツの裾をひっかけたり、忙しいことになってしまった。
「気にしなくていいから」
シャツの上から腰を捕まれて、ぐいっと引き寄せられる。
「う、ああっ」
淫猥な音が響く。
これ以上ないってくらい、深いとこまで乾先輩に貫かれて、痺れがつま先まで走った。
「そのまま俺の上に乗っててくれればいいよ。大丈夫、しつこくしない、すぐ終わる……」
「あっ……ぁ、やあ……!」
それほど激しくない動きなのに、奥までいっぱいになっているせいで凄く感じてしまう。
中をじわじわ擦られて、先端が壁を掻き分けて突いてくる。
抱きついている腕も、先輩の腹に触れるオレ自身も、繋がってる部分もみんな熱くて気持ちよくて……。
もうすぐ見えてくる限界に、オレは力いっぱい目を閉じて備えた。
先輩が、助手席に戻って沈み込んだオレのシャツのボタンを、丁寧にはめていく。その途中で、先輩が目を見開いた。
「あらら」
「……ん?」
狭い中あちこちぶつけて赤くなったオレの身体を見て、乾先輩が申し訳なさそうに笑った。
「車の中でエッチなんてするもんじゃないね」
「……アンタが」
「そうです、俺が仕掛けました、ごめんなさい、痛い?」
「痛い」
ぶすっと答えると、汗ばんだ前髪をくしゃりとかき混ぜられた。
「もっとでかい車、買おうかな」
「……っ、金ねえくせに、馬鹿!」
言葉の裏が分かってしまったオレは、いたたまれなくなってそっぽを向いて背中を丸めた。クスクス笑う振動がシートから伝わってくる。
「狭いのも楽しいけどね」
「も、……早く車、出せ!」
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